価格設定の考え方
価格の設定の方法としては、大きな基本方針として、下記の3つの方法が挙げられます。
- コストベース
- マーケットべース
- ユーザーの価値基準ベース
上記は、販売する商品によって、どの方法を中心に検討するか決まることもありますし、3つのうちの1つを選ぶというよりは、3つの方法をベースに算出して比較したうえで、最終的にどれくらいの価格にするか決めることもあります。
まずは、それぞれの方法を見ていきましょう。
コストベース
コストベースとは、製造原価(仕入原価)やその他の費用から、販売価格を決める方法です。
例えば、製造原価が1000円、平均送料650円(送料無料の前提)、梱包資材費100円、その他の諸費用100円であれば、その商品1個当たりのコストは1850円ということになります。この1850円に利益を足すと販売価格になります。
利益については、利益率を用いて決める場合と、諸々考慮して利益額自体を決める場合があります。
利益率については、絶対この%じゃなきゃいけないというものはありませんが、販売する商品のカテゴリーによって利益率の傾向が違っていたりします。
もし利益率の目安が必要であれば、自分で商品を生産している場合は、製造原価が販売価格の3割ぐらいが目安で(利益率は7割)、仕入れた商品を販売している場合は、仕入れ原価が販売価格の5~7割ぐらい(利益率は3~5割)を目安にすると良いでしょう。
なお、使用期限があったり、季節性の商品などは、売れ残るとセールなどで在庫を一掃する必要があるので、利益率を高めに設定しておきましょう。
また、利益額を決めるという考え方の場合は、商品1つ1つに付随する上記に挙げたような費用のほかに、人件費(自分の給与など)やオフィス家賃など、月単位で発生する費用(固定費)を、利益から賄う必要があるので、何個ぐらい売れるとトータルでどれくらいの利益になり、月の固定費を上回るかを試算して決めると良いでしょう。
ただ、このコストベースの考え方は、完全に売り手側の都合だけで決める方法なので、この考え方のみだと、本当に売れるかどうか(買い手側から見ると妥当な価格なのか)、という点も考慮すべきなので、後述の2つの方法と並行して検討するのが良いでしょう。
マーケットベース
マーケットベースでは、市場調査、つまり競合商品の価格を調べて、その価格を基に販売価格を決定する方法です。
最安値を訴求して販売していく戦略をとるのであれば、調べた競合の価格を下回る価格に設定すればよいでしょう。
ただし、利益はちゃんと計算しておきましょう。売れば売るほど赤字であれば、何のためにショップを運営しているのか分からないので。また、最安値訴求で運営していく場合、価格競争に陥る可能性もあるので、それらの懸念点含めて方針を決めましょう。
最安値以外でいえば、競合の中でも、最も有名なショップや最も売り上げの大きいショップ、ショッピングモールなどでのランキングの、価格を参考に決めるという方針もあります。
最安値でなくても、その価格で売れているという事実があるので、最安値でないとしても、顧客の許容範囲内の価格と考えられます。
ユーザーの価値基準ベース
ユーザーの価値基準をベースにするというのは、当商品がいくらぐらいまでであれば、購入してもらえるのかといったことを想定して決める方法です。
ユーザーによって価値が違うので、ユーザーの考える商品価値というのを正確に捉えるのは難しいですが、アンケート調査などが可能であればアンケート結果から考えるという方法もありますし、他の商品に置き換えて考える(例えば、この商品であれば週刊誌1冊分ぐらいの価格はOKなのではないかと想定するなど)という方法もあります。
販売戦略として高級路線をとる場合、ブランドイメージ(サイトデザインや商品デザイン、パッケージなど)を高級感を出していくのであれば、価格は通常の競合よりは高く設定すべきなので、ユーザーの価値基準をベースとしてどこまでの金額を出してもらえるかと考えて決めることになるでしょう。
ここまで価格設定の方針を決めるための方法について説明をしました。
上記をベースに、購入者の心理面などを踏まえて販売価格を調整するという流れになります。
例えば、下記などです。
- 販売価格が1桁下げるように端数の金額で設定する(1000円→980円など)
- 同様の商品で、高額のハイスペック商品と真ん中の価格の商品と一番安くて低スペック商品を用意して、真ん中の商品が売れるようにする
なお、最終的にいくらにするか迷う場合は、少し高めに設定して販売を始めるのがおすすめです。
販売後の値上げは売上に影響を及ぼす可能性があるので、値上げしなくてもよいように高めに設定してスタートし、必要に応じて値下げをするぐらいの方針が望ましいでしょう。